何とも煮え切らない検察側の姿勢だが、本年度内の再審公判開始や即日結審を希望し、弁護団の証拠請求にも同意する方針だという。

 どういうことか分かりやすく言うと、検察側は「間違っていたとは認めないが、裁判所が『無罪』というなら、それに従ってあげますよ。それでいいでしょ」「面倒くさいことはさっさと終わらせたい」ということだ。

 当時、事件を担当した検察官は身内であるし、積極的に不手際を指摘したくない気持ちは理解できないでもない。

 そして、昨今は検察のレベルとモラルが低下しているのはいうまでもないことだが、公判をゲームか何かと勘違いし、人の人生などどうでもいいと考えるエリートらしいリアクションでもある。

 井戸弁護団長は検察側の姿勢に「積極的に有罪を立証する証拠はないが、はっきり無罪といえる証拠もないのだろう」と検察側が手詰まりになったと推測した。

 記者会見した西山さんは「裁判が早く終わるのはうれしい」と喜びを語った一方、公判が1回だけの可能性が濃厚になったことに「検察側に直接聞きたかったこともあるが、それができないのは残念」と心境を吐露した。

女性の心につけ込んだ刑事

 確定判決によると、看護助手だった西山さんは2003年5月、巡回中に男性患者の人工呼吸器を外し、殺害したとされる。

 任意捜査の段階で自白したが、公判では一貫して無罪を主張。07年に懲役12年の判決が確定し、10年に大津地裁に第1次再審請求。地裁、高裁、最高裁ともに再審は認めなかった。

 17年8月に服役を終え、同年12月、大阪高裁が再審開始を決定し、風向きが変わる。今年3月、最高裁が検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が確定。この時点では、検察側は有罪主張を表明していた。