事業ごとの協力体制を反映した株持ち合う
世界的にも珍しい連携

 なぜトヨタは追加出資に踏みきったのか。その理由はまず、今後必要となるCASE関連への対応だといわれている。C=コネクテッド(走行中のクルマが外部の情報ネットワークとつながること)、A=オートノマス(自動運転)、S=シェアリング(カーシェアやライドシェアなど新しいモビリティサービス)、E=エレクトリフィケーション(クルマの電動化)がCASEである。中でも重要性が増す電動化技術を「トヨタがスバルに供与するのだろう」といわれる。

 その一方で「海外投資家への警戒心も理由のひとつだろう」との見方が証券業界などにはある。単にトヨタがスバルを持分法適用会社にするだけでなく、わざわざスバルとの株持ち合いを行う理由は「日本国内の安定株主を確保するためだ」という見方である。トヨタとマツダ、スズキ、スバルは主従関係ではなく、事業ごとの協力体制を反映した株持ち合いという、世界的にも珍しい連携といえる。

トヨタをコアに資本提携を基盤とした“日本のメーカー連合”の相関図
トヨタをコアに資本提携を基盤とした“日本のメーカー連合”の相関図
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 トヨタは過去、自社の株を同業他社に持たせなかった。最初の例外が、17年8月に実行されたマツダとの資本提携である。両社の関係は04年にトヨタの車載情報ネットワークサービス、G-BOOKにマツダが参加したときに始まり、15年の業務提携を経て、17 年に「互いに500億円相当の株を相互に持ち合う」という資本提携へと発展した。13 年という、慎重を期した結果の資本提携だった。

 スズキとトヨタの資本提携は、創業家同士の話し合いから生まれた。スズキの鈴木修会長とトヨタの豊田章一郎名誉会長が2人だけで会談し、鈴木会長が「提携しませんか?」と持ちかけ、それを豊田名誉会長が「いいですよ」と返事したことがきっかけだった。この合意が両社に持ち込まれ、どのような分野で協力体制を敷けるかが議論された。その結果、“スズキのインド生産拠点を活用し、トヨタとスズキがアフリカを含めたインド以西の市場を開拓する”というプランが最初に発表された。

 スズキもかつてはGMグループだった。資本提携は1981年に始まった。GMは苦手な小型車部門で日系自動車メーカーと協力しようと狙った。GMは小型車ブランドのGEO(ジオ)を新設し、スズキがカナダで生産するGEOブランド車を工場出荷時点ですべて買い取る契約を結んだ。北米事業が安泰になったスズキは、インド進出を決めた。