今回お話をうかがったのは、現役の経営者であり、禅僧でもあるという異色のキャリアをもつ島津清彦さん(54歳)。大手企業や官公庁での研修、経営・組織コンサルティングからママ向けの講座まで、さまざまな人を対象に日常で活用できる“禅の教え”を伝えています。
そんな島津さんに、ご自身も実践なさっているという、 “マインドフルネスな食べ方”を教えていただきました。
禅の食に対する考え方が
生活を変えるきっかけに
25年在籍していたスターツグループでは人事部長、スターツ ピタットハウス社長などを歴任。2012年に経営コンサルタント、企業研修講師として独立起業。同年禅宗にて得度後は禅やマインドフルネスを150社、3500名の組織リーダーに伝えている。
2018年にZENTechを設立した後は、組織開発に禅と科学とテクノロジーを活用し、日本の大企業にイノベーションを起こすべく活動を開始した。
「私の食の記憶といえば、生まれ育った深川の夏祭りの風景です。暑くて喉が渇いた日に、ポリバケツに入っているかき氷にいちごのシロップをたっぷりかけて、みんなで『うめー!』と食べたような…」
そう笑う島津さんは、東京の下町育ち。サラリーマン時代はガード下の居酒屋をこよなく愛し、ワイワイガヤガヤ楽しい雰囲気の中、ハイボール、ホッピー、おしんこと冷ややっこがあれば幸せだったといいます。
「基本的に仕事人間なので、食事は立ち食いそばで十分。昔は、腹持ちすればいいと思っていました」
現在は、ムダが一切ない体で、ゆったりと落ち着いた立ち居振る舞いが印象的な島津さんですが、サラリーマン時代はかなり太っていたそう。食べるのが早すぎて、家族から怒られることもあったといいます。
そんな島津さんの体に変化が生まれたのは、禅の修行の一つ、「五観の偈(ごかんのげ)」という食事をいただく時の観察法を日常で実践するようになったことがきっかけでした。
「座禅も大事ですが、食べることも同じくらい大事なのです」
なかでも、島津さんが気をつけているポイントは2つ。