また、大学がブランド価値を追求することは悪いことではないし、大学はブランド価値の向上に真剣に取り組まないと長期的な存続も危うくなる。

 そして、主なブランド商品である卒業生の価値の大部分が入学時に決定されているという現実に正面から向き合うなら、入学者の選考プロセスはそれぞれの大学でもっと多様であっていいのではないだろうか。

 入学試験も、特定の教科で特殊な難問を出す大学があっていいだろうし、ペーパーテスト的な学力以外の何らかの能力や特長に焦点を当てた選考を行う大学・学部があってもいいだろう。

 ただし、肝心なことは、大学・学部が自らをブランドビジネスの主体として真面目に意識して、合理的に行動することだ。

 例えば「総合的学力」が大きなブランド価値の源泉であるような大学・学部が、AO入試や推薦入学などで学力の低い人材を学力の高い人材と混ぜてしまうと、その大学・学部の卒業生の総合学力的ブランド価値を大いに損うことになる。

 もちろん、ぼんやりとした「総合的学力」以外の価値が人材の評価に伴うのだから、「特色」のつくり方は大学によって多様であり得るし、多様にすみ分けつつ競争する方が、ブランドビジネス全体は栄える。

 ビジネスとしての大学の本質はブランドビジネスなのだから、文科省は、入学者の選考も含めて大学がやろうとすることに画一性を求めるべきではない。大学に求めるべきは画一性ではなく、むしろ「突出していること」だ。センター試験は余計だったし、民間業者による英語の試験も必要ない。各大学が個性的で丁寧な入試を行うことが好ましい。

 どうやら、「身の丈」に合っていない不適切なことをしているのは文科省なのではないだろうか。破壊力抜群の新大臣の教育的指導に期待したい(皮肉も交じっていますが、少しは本気で期待しています)。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

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