
全国に約500組織ある農協の有価証券の含み損が合計6000億円超に膨らんでいることが分かった。日本の長期金利の上昇によって時価が下落した債券の“損切り”に追い込まれ、赤字に転落する農協が増え始めている。ダイヤモンド編集部の独自調査で、石川県には、債券運用の失敗によって財務が毀損しかねない“危険水域”にある農協が二つあり、うち一つは全国の農協で最も高いレバレッジを掛けたハイリスクな運用をしていることが判明した。長期連載『儲かる農業 JA・豪農・アグリビジネス大激変』内の特集『JAが大淘汰時代に突入!? 国債の「巨額損失リスク」農協ランキング』の本稿では、債券の売却損を計上することで、巨額損失に陥る可能性が高まっている石川県の農協の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文、データ分析 小海敬義)
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農協の“頼みの綱”であるJAバンク石川信連も
有価証券の含み損が24年度、236億円に膨張
農林中央金庫は2024年度、金利上昇により時価が下落した債券の売却損を1兆円計上し1.8兆円の最終赤字に陥った(前年度は636億円の黒字)。この「債券爆弾」のリスクが、今度は、地域農協を襲っている。農林中金のケースをなぞるように、農協が保有する日本国債などの評価損が急拡大、赤字に転落するケースが増えているのだ。
農林中金と、全国に約500ある農協の有価証券の評価損額の推移を示すグラフなどは、『農林中金1.8兆円赤字に続き、危機に陥る農協は?債券の含み損が6000億円超に膨張して、内部留保が吹き飛ぶJA続出!【国債の「巨額損失リスク」農協ランキング・ワースト10】』を参照してほしい。
農協が保有する有価証券の8割超が、国債、地方債、社債だ。近年、日本の長期金利が上昇するにつれて債券の時価は下がり、農協の有価証券評価損額は24年度、6180億円まで膨らんだ(ダイヤモンド編集部の調査で、評価損額などの財務データをウェブ上で確認できた455JAの合計。25年4月現在の全農協数は496)。このうち、石川県の農協の含み損は計129.4億円で、満期まで保有する予定の債券も含めた有価証券の含み損を加えると計145.8億円に及ぶ。
すでに“損切り”を行った他県の農協では内部留保の大部分が吹き飛ぶなど、出資者である組合員にとっては看過できない事態となっている。具体的には、愛媛県のJAおちいまばりは24年度、有価証券売却損を48.5億円計上(利益剰余金は前年度比77%減)、JA高知市は同43.2億円計上(同91%減)、JAみやぎ登米は同37.6億円計上(同79%減)などだ。
これら3JAに続いて、巨額赤字に沈む可能性が高い農協をあぶり出すため、ダイヤモンド編集部は、455JAの有価証券の「含み損リスク」を独自に算出した。すると、石川県において、含み損リスクが、前出の3JAが損切りする前の23年度の含み損リスク(JAおちいまばり12.6%、JA高知市26.4%、JAみやぎ登米15.5%)の平均18.2%を上回る農協が複数あることが判明した。
次ページでは、石川県の農協を含み損リスクが大きい順に並べた「ワースト15・JAランキング」を大公開。有価証券の含み損が20億円を超える農協が三つあることや、それらとは別に、保有する有価証券額が純資産の何倍かを示すレバレッジ度が6倍超と全国で最も高いハイリスクな運用をした結果、含み損リスクが“危険水域”といえる水準に達している農協を明らかにする。
過去には、経営が悪化して近隣の農協に救済合併されたり、組合員の出資金を1口分1000円まで大幅に減額したりした農協が存在し、いずれのケースでも出資者や取引先に多大な悪影響を及ぼした。次に淘汰される農協はいったいどこなのか。
なお、債券の運用に失敗している石川県のJAグループ石川の組織は農協だけではない。農協が、組合員から集めた貯金の大部分の運用を委託していた上部団体であるJAバンク石川信連(石川県信用農業協同組合連合会)の24年度の有価証券の含み損は前年度の2.6倍となる235.6億円に膨らんでいる。次ページでは、JAバンク石川信連の運用状況も含めて詳報する。
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