こうしたなかで、『彼と私の両家の事情』はアフリカでもの凄い人気番組となり、自国のブームをも凌駕してしまった。これはもちろん、思いもよらないことだった。

 2011年、『彼と私の両家の事情』はスワヒリ語に訳され、タンザニアのテレビ局TBC1で、ゴールデンタイムではない時間帯に初放送されたが、3ヵ月連続で大人気を博し、視聴率も過去最高を達成した。その後、何度か再放送されたが、視聴率は依然として非常に好調で、視聴者ほぼ全員がこのドラマを好きという状態にまでなった。もちろん、そのことも中国国内の制作スタッフにとっては思いがけないことだった。

中国のソフトパワーが
世界を席巻する可能性

 統計データによると、タンザニアではテレビのユーザーの70%が『彼と私の両家の事情』を見たことがあるという。当初、タンザニアで『彼と私の両家の事情』が放送される前、自国で多くの視聴者が字幕を読めないという難題があった。そのため、皆がドラマを障壁なく理解できるようにするために、吹替の声優を選ぶコンテストを行った。それは間接的に中国語ブームを形づくった。吹替に選ばれた声優らもスターのように注目を浴び、高い評判を得ている。

 ドラマの吹替版は、ケニア、ウガンダ、セネガルなどで公開され、いずれも「中国の嫁旋風」を巻き起こした。多くのアフリカの視聴者がドラマの中の人物のセリフをまねし始めた。中国のテレビドラマが流行り、「doudou」などの登場人物がお茶の間の話題となった。

『彼と私の両家の事情』の放送が終了してから、中国のその他のテレビドラマがアフリカで次々と放映された。しかも、ドキュメンタリーやアクション、カンフー映画よりも、アフリカの人々に人気があったようだ。視聴者は「中国のドラマを見ないと寝られない」といったほどだ。

 ひょっとしたら、私が数十年前の中国における『君よ憤怒の河を渉れ』の人気ぶりとその社会背景を解説するように、数十年後に誰かが、中国の連ドラがなぜアフリカでこれほど人気を博したのかを解説するかもしれない。その解説を聞ける日を楽しみに待っている。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)