BMWの新トップに急進的なアプローチを期待していた投資家は、思惑が外れることになるだろう。8月に最高経営責任者(CEO)に就任したオリバー・ツィプセ氏は6日、CEOとして初の四半期決算発表の場で、前任者のハラルド・クリューガー氏が進めた戦略を逸脱する気配を全く見せなかった。つまり、何よりも柔軟性を重視する戦略だ。他の自動車メーカーが電気自動車(EV)に特化した生産プラットフォームの導入に軸足を移すのに対し、BMWはあり得る限りの駆動タイプ――従来型、ハイブリッド、完全電動式――を単一の製造モデルに統合している。今後、欧州や中国ではバッテリー技術への移行に伴い、大いに波乱が起きそうだが、柔軟性はBMWがそれを乗り切る助けとなるだろう。しかし、このアプローチは優柔不断な面をうかがわせる。専用プラットフォームを持つ他社に比べ、重大な局面でBMWのEV設計の足かせとなる可能性がある。