起業して月200円!明治を生きる銀二郎(寛一郎)の収入で当時買えるものがすごかった!〈ばけばけ第62回〉『ばけばけ』第62回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第62回(2025年12月23日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

松野家の世話ができるようになった銀二郎

 男の足元からはじまる。

 銀二郎(寛一郎)が松野家の前に立ち、尻込みする。

 うっとなって、今日はやめておこうかと立ち去ろうとすると、サワ(円井わん)に見つかる。

 さらに、フミ(池脇千鶴)も顔を出し、びっくり。

 うっとなったのは、緊張したのか、松野家が貧しすぎて臭かったのか――。

 なにしろ、銀二郎はいまやものすごくパリッとしているから。

 家の中に入り、司之介(岡部たかし)と勘右衛門(小日向文世)の前で丁寧にあいさつ。

 出奔したことを「大変申し訳ございませんでした」と謝罪。

 静かに立ち上がる勘右衛門、木刀を握っているので、一瞬緊張が走るが、「また稽古しよう」と穏やかに受け入れた。

「ですが稽古はもう」とやんわり断る銀二郎。

 真面目におかしいやりとり。ふじきみつ彦節。

 明日、トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)と会う約束をしているとはいえ、いまここにトキはいない。トキが異人の家の女中をしていることを銀二郎は知る。

「ペリー」つまりヘブン(トミー・バストウ)が来たのは去年、銀二郎が去ったのは4年前、と説明する勘右衛門。

「ペリーは気にしないで、ペリーだないから」とフミ。

 ここも真面目におかしいやりとり。ふじきみつ彦節。

 勘右衛門は改めて、4年もたってなぜ再び松江に来たのか、銀二郎に問う。

「私はおトキちゃんと、いえおトキとやり直すためにお願いに参りました」ときっぱり言う。

 いろいろあったすえ、会社を起こし、月200円は稼いでいる。松野家の世話ができるとの自信のもとに迎えに来たのだ。実に責任感の強い人である。

 月に200円! トキの10倍である。