仕事ではめったにないが、飲み屋などのプライベートで時折、出会ってしまうのが“年齢サバ読みおじさん”。見た目は明らかに40歳オーバーなのになぜか30代と言い張るなど、年齢を若く偽る中年男性が増加しているという。男性が年齢をサバ読みする理由について心理コーディネーターに聞いた。(清談社 中村未来)
人をいたたまれない
気持ちにさせる嘘
「人は、倫理観が外れたときに嘘をつきやすくなります。どういうときに倫理観が外れるかというと、自分の社会的な損失が少ないであろう状況のときです。飲み屋でたまたま会った人や、マッチングアプリで出会った人は、多くの場合、自分の社会生活“外”の人なので、嘘もつきやすくなります」
こう解説するのは、男性心理に詳しい心理コーディネーターの織田隼人氏。人間の倫理は周囲の社会性によって維持されているようなもの。知り合いがまったくいない状況、社会的ダメージを受けないであろう状況であれば、人はぽろっと嘘をついてしまう生き物なのだ。
そして、この倫理観が外れた状況に加えて、「モテたい」という動機が加わったとき、男性は年齢のサバを読むのだ。その意味で、年齢サバ読み男が跋扈しているのが、出会いを求める男女に必携のマッチングアプリ。バレバレの嘘なのに誰もツッコむことができず、気まずくなった経験をした人も少なくないはずだ。
つい最近、年齢を詐称されたというA子さん(28歳・アパレル)に、そのときのことを振り返ってもらった。
「マッチングアプリで出会った男性で、第一印象はサーファー系。プロフィールには30代とありましたが、肌質や髪質、体のたるみ具合から、どう見ても45歳を超えているように見えました。そのうち聞いてもいないのに、『俺は今35歳だからさぁ』と言いだしたんです。一瞬ギャグなのかな?と思ったけど、本人は大真面目に話を続けていました」
いくらなんでも10歳のサバ読みはごまかせない。2軒目も誘われたが、やんわりと断って店をあとにしたという。
「何が衝撃って、バレないと思っていることです。大人の男性に対して、いたたまれない気持ちになったのはあのときが初めてでした。でも、私の周りにも、年齢をサバ読みされたことがあるという子が結構います。さすがに10歳はいませんでしたが…」