「だから、次のJ2のスタジアムをもう始めないと間に合わない。1万人のスタジアムの計画や模型がすでにできていて、その資金調達をしないといけない。加計学園でたくさん使っちゃったから今治市にはお金がないので、土地は無償で貸してくれるけど、自分で建ててくれと言うから。50億円くらいかかるけど、自分たちで建てようかな、と。投資してもらえるような事業として、複合型スタジアムができるので事業収入が入る。10年間のPL(損益計算書)ができて、だいたい承認が降りたので」

 岡田が言及したことのある複合型スタジアムとは、試合開催日以外も常時稼働する、商業施設が併設された形態をさす。もともとの目標だった、岡田メソッドと命名されたサッカーの型を浸透・事業化させ、運営会社としても30億円規模の収入も目指していく。単身赴任の形で今治に来てからの5年間を粋な言葉で振り返りながら、岡田は次の5年、10年、さらに先を見すえながら思わず目を細めた。

「僕の年齢における5年間というのはこれから老いゆく手前の、ものすごく貴重な時間と言ったらおかしいんだけど、その時間をここに捧げたというか、わくわくしながらやらせていただいた。本当にあっという間に過ぎたし、正直、地域に夢を見せるというよりは、僕自身がホラに近いような、わがままのような自分の夢を語っていただけなんですよね。みなさんがその夢に共感して力を貸してくれて、指導者やスタッフ、選手たちも集まってきてくれた。僕がどんどん新しいことをやるので、社員もその尻拭いで飛び回って大変だったと思うけど、僕自身はもっと、もっと壮大な夢を語りながらリスクを冒して、チャレンジしていこうと思っているんですよ」

 代表取締役会長に就任した時に、2025年までにJ1で常時優勝を争い、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝をめざし、5人以上の日本代表選手を輩出する中長期ビジョンも定められている。無理だと笑われるかもしれない。それでも、夢を言葉にして発信していかなければ周囲も動かない。還暦を超えて久しい岡田の表情には、常に充実感がみなぎっている。

「やるべきことはまだまだいっぱい、それこそ山ほどあるので。今日からでもすぐにスタートさせるくらいの気持ちでいます」

 サッカーファンには見慣れたトレーニングウエアやジャージーではなく、スーツにネクタイ姿でJリーグへの帰還を果たす来シーズン以降へ。想定よりも遅れている時間を「我々に貴重な力をつけるために必要だった」と今ではポジティブに受け止めながら、岡田は経営者として走り続ける。(文中敬称略)