競売サイトでは
工場も売られている

 10月17日、中国財政部が1~9月の全国の一般公共予算収支を発表したが、増値税や企業所得税が増加を保つ一方、個人所得税は7981億元(約11.9兆円)、前年同期比で29.7%減と大幅に下落した。理由は「減税効果」だというが、それだけとは限らない。景気の悪化で、所属していた企業が倒産し、収入を失うことだってある。

 勤務先の企業がひとたび事業縮小に傾き、リストラや減給などが本格化すれば、社員が組んだ住宅ローンの返済に狂いが出る。返済が90日間滞れば、住宅は銀行によって差し押さえられてしまう。このご時世、不良債権の山はそう簡単に減りそうもない。

 中国では競売物件のオークションを扱う大手プラットフォームや、各市の競売協会などが運営する専門サイトもある。試しにサイトを見てみると、「特価不動産」「出し値1元」などと銘打った住宅や店舗がぞろぞろと出てきた。愛車とともに撮影した豪華戸建てや、家具がそのまま置かれた生活感漂う物件画像などもあり、持ち主の“のっぴきならない事情”も透けて見える。民間シンクタンクによれば、「2018年だけで47万戸が流通し14万戸が成約、成約金額は3000億元(当時のレートで約5兆円)にのぼる」という。

 競売サイトでは工場も売られていた。アリババの競売サイトを閲覧すると、11月11日時点で中国全土から寄せられた2万4271件の競売が確認できた。これ以外にも、車両部品メーカー、半導体材料メーカー、太陽光発電メーカーなど、名の通った破産企業の資産が競売にかけられていた。かつて「世界の工場」の名声を独占してきた江蘇省、浙江省、広東省でその集中が見られる。

 工場を手放す企業が増えているのは、米中貿易戦争の影響で受注が減り、業績が厳しくなったせいもあるだろう。浙江省温州市では、創業者が長年経営してきた1万人規模の縫製工場を手放したことが話題になった。アメリカ向け衣料品の縫製を手掛ける地元屈指のメーカーだったが、「経営が急に厳しくなり、手放すことに決めた」と関係者は明かす。