上野衆議院議員が厚労政務官を辞任したのは、8月28日。その後も安倍政権の不祥事が続くなか人々の記憶から遠のき始めているが、辞任の引き金になった週刊誌が報じた疑惑は次のようなものだ。

 上野元政務官は、飲食店やドラッグストアなどに外国人労働者を派遣している人材派遣会社「ネオキャリア」の外国人労働者の在留資格申請について、出入国在留管理局に対して許可を早めるように働きかけることで、1人当たり2万円の「報酬」をネオキャリアから得ようとしたとされる。

 秘書との打ち合わせとされる録音テープが報じられ、秘書もテープは「本物」だと認めたようだ。

 その後も、ネオキャリアへの仲介者とされる女性経営者と上野議員のやりとりという新たな録音テープの存在も報じられた。その中で、上野元政務官は、1件につき「3でも5(万円)でも」「月に100万円に」なれば、とも語っている。

 一連の疑惑報道に対して、上野議員は全面的に否定をしたが、厚労政務官を辞任した。

 仮に報道が事実だとすれば、法律を厳正に運用すべき法務省が、政治の言いなりになり、口利きという斡旋利得罪の疑いの対象になる異常な事態だと言ってよい。

 外国人労働者受け入れ拡大を目指した改正入管難民法は、衆議院の審議時間はわずか17時間。衆参法務委員会でも審議は合わせてわずか33時間だった。

 審議過程で、低賃金や過酷な労働条件で働かされかねない外国人労働者の人権をどう守るかが問題にされたが、安倍首相は「あらゆる手段を尽くし悪質ブローカーを排除していく」(2018年12月6日)と答弁していた。

 しかし、口利きが行われたとしたら、内閣の担当政務官自身が外国人労働者の受け入れで“手数料”をかせぐ「悪質ブローカー」だったことになる。

現役世代は賃金低下
高齢者は年金不安に

 改正入管難民法がもたらす問題は、外国人労働者にとどまらず、賃金と雇用条件の底割れを作り出す点にある。

 90年代には労働者派遣法が改正され、低賃金・不安定の非正規雇用が拡大して、賃金と雇用を破壊した。

 今回の改正で、14の分野(外食、宿泊、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、建設、造船・舶用工業など)で、「外国人技能労働」の受け入れが始まったが、非正規労働者に加え、低賃金の外国人労働者が増加することで、働く人全体の「賃下げ」をもたらす可能性が強い。