街中の景気
今後予想される、増税後の景気落ち込みはどれほどのものか。7~9月期GDPから占ってみよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

盛り上がりに欠けた
消費増税前の駆け込み需要

 2019年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+0.2%と4四半期連続のプラス成長となった。今回のGDP統計で筆者が注目していたのは、消費増税前にどのくらい駆け込み需要が発生したのかという点であった。7~9月期の個人消費は前期比+0.4%と、2四半期連続で増加したものの、市場予想(同+0.6%)を下回った。

 月次の小売統計をみると、増税直前の9月に自動車や家電量販店、ドラッグストアなどの売上高が大きく増加しており、駆け込み需要が一定程度、消費を押し上げたとみられる。もっとも、2014年の増税直前期に比べて駆け込みの期間が短く、個人消費の増加幅も小さい(2014年1~3月期:同+2.0%)。前回のような駆け込み需要の盛り上がりはなかったといえる。

 一方、今回のGDP統計で、実質GDP成長率が4~6月期(前期比年率+1.8%)に比べて大幅に鈍化したことに注目し、景気の減速を懸念する向きがあるかもしれない。もっとも、需要項目別にみると、成長ペースが鈍化した主因は在庫投資の減少である。

 実際、在庫投資の成長率への寄与は、前期比年率▲1.2%ポイントに上る。これは、企業が駆け込みなどによる需要増加に対し、増産ではなく在庫の取り崩しで対応したためである。積み上がっていた在庫の調整が進んだという点から、過度な懸念は不要といえよう。

 その他の需要項目をみると、設備投資の強さが目につく。設備投資は前期比年率+3.5%と、前期から増勢が加速した。小売業などで軽減税率に対応したレジの導入が進むなど、消費増税関連の特需が投資を押し上げた側面があるものの、人手不足に対応するための省力化投資や、AI、IoTといった新たな技術に対応するための情報化投資、研究開発投資なども増えているようだ。輸出の弱さや海外経済の先行き不透明感が払しょくされないなかでも、企業は積極的な投資姿勢を維持している。