サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)で、高い売り出し価格にこだわっている。その結果、ありがたくない問題に直面するかもしれない。国有企業の上場では、できる限り幅広い投資家を誘致するため、通常なら公開価格を低めに設定することが多い。これは、国が保有株のほんの一部しか手放さず、将来さらに売却したいと考えている場合には、とりわけ重要になる。アラムコIPOでおよそ3割の資金を提供するとみられる個人投資家は、株価が値上がりしなければ敬遠するだろう。アラムコは先週末、株式1.5%を1株当たり1株30~32リヤル(8.10~8.64ドル=約880~940円)で売り出す方針を明らかにした。これに基づく上場時の時価総額は推定1兆6000億~1兆7000億ドル(約174兆~185兆円)となり、ムハンマド皇太子が求めていた2兆ドルの水準を大きく下回る。だが、海外投資家の推定評価額である1兆2000億~1兆5000億ドルは依然として大幅に上回る水準だ。
アラムコ、割高IPOを待ち受ける問題とは
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