『こち亀』を読んだことがある人にはもちろんのこと、『こち亀』を読んだことのない方にも、秋本治氏の仕事哲学が伝わってくるのではないか。(木下隆志)

本書の要点

(1)『こち亀』は劇画風味のギャグマンガという初期路線にこだわらず、デジタル機器など著者の好みにあったものを取り入れて変化させていった。変化を恐れなかったからこそ、40年間の連載が可能だったのだ。
(2)著者はスケジュールを自分で決めていた。時間を切り詰めて作品のストックをつくり、時間の余裕を確保。余った時間で読み切り作品も描いていた。
(3)「小さな目標→達成→新たなスタート」という繰り返しが、大きなゴールに近づく方法である。著者は『こち亀』の10巻目が出た時点でひとつの目標を達成したが、すぐ次の目標に向かい、休まずに走り続けている。

要約本文

◆セルフマネジメント術
◇好きでしょうがないことを見つけるべき

 世の中には好きな仕事をできていない人、または自分が好きなことが見つかっていない人が大勢いる。著者は学生時代にバイトでやりたくない仕事を経験したことはあるが、それ以外はアニメーター時代から漫画家時代を通して、仕事を苦痛だと思ったことは一度もない。

 だからこそ「好きで好きでしょうがない」ものを見つけるべきだと語る。もし見つかっていなければ、映画でも音楽でも車でもなんでもいいから、若いころに夢中になったことを思い出してみるといい。きっとなにかが見つかるはずである。

◇変化を恐れない!

『こち亀』の連載がスタートしたのは1976年だ。それまで雑誌に掲載されるマンガは、ほのぼのした作品が中心であった。当時そこへ新たに登場したのが、リアルな絵と派手なストーリーのハードボイルドな劇画である。