香港区議会選挙で中国共産党が親中派大敗を予測できなかった理由
11月24日午前9時半頃、香港島西營盤の投票所付近で Photo by Yoshikazu Kato

大きく後退した親中派
民主派が85%の議席を獲得

 11月24日、日曜日、午前9時半。

 香港地下鉄西營盤(サイインプン)駅B3出口付近、徳輔道西沿いにある投票所へ到着すると、そこには200メートル以上の長い列ができていた(投票時間は7時半から22時半)。皆、静粛に、一列に並んでいる。列を乱したり、秩序を乱したりする者はいない。

 入り口では、有権者が一斉に投票所に入り過ぎないように係員が誘導している。有権者たちもそれを理解していた。辺りには香港警察に属する機動隊員たちが目を光らせている。5カ月以上に及んでいる一連の抗議活動や衝突を受けての措置であろう。

 4年に一度行われる区議会選挙では、計18の選挙区、452の議席が争われた。今回は、「逃亡犯条例」改正を引き金に、「一国二制度」のあり方、香港社会の自由と民主主義、政府や警察の市民への対応、そして中国共産党の意図や出方などをめぐって発生してきた一連の現象を経て、民主派(中国語で「泛民派」)と親中派(中国語で「建制派」)がどうぶつかり合うかに焦点が集まっていた。区議会選挙は1人1票の小選挙区制を採用しており、既存の制度においては、香港社会における民意を最も直接的に反映する枠組みだと考えられている。

 結果は、385議席対59議席(その他8議席)で民主派の圧勝で、全議席の約85%を占めるに至った。親中派は前回(2015年)選挙で獲得した298議席(全431議席)から大きく後退した。

香港市民の考え方を
見誤った中国共産党

「正直予想外だった。北京の中央政府は親中派の勝利をかなりの程度で確信していた。私自身は親中派が負ける、民主派が過半数を取る可能性もあると考えていた。ただここまで大敗するとは…」

 今回の選挙を含め、香港の政治・世論の分析と報告を担当する中央政府の香港駐在官僚Hは筆者にこう語る。