中国返還前から見えていた香港の落日、無秩序化の痛すぎる代償
中国本土への返還前から多くの課題を抱えていた香港には、落日の兆候が見えていた Photo:Anthony Kwan/gettyimages

デモ参加者が暴徒化
風雲急を告げる香港情勢

 犯罪の容疑者を中国に引き渡す法令の制定に対して、香港市民は8月に入ってから連日、超大規模なデモを続け、かつて世界の貿易・金融センターとしての地位を誇っていた香港は大きく揺れている。

 デモ規制が強化されているなか、学生などが構成する抗議者側は、「公園の花見をしながら将来を考えよう」との誘い文句で非合法集会への参加を市民に促し、対抗する。自らの主張を通すために、空港占領、地下鉄の運行阻止など都市機能を麻痺させる過激な手段を講じたりして、抗議行動をエスカレートさせている。

 そのため、地下鉄港島線(Island Line)や東涌線(Tung Chung Line)などの多くの路線が止むを得ず運転を一時見合わせたり、発車時間の間隔を延ばしたりするなど、苦しい対応に追い込まれた。いくつかの大型バスも、路線を変更して運行せざるを得なくなった。

 しかも、デモが交通に与えた影響は香港地域にとどまらず、国際社会にも広がっている。香港の空港管理局は8月5日21時までに、香港国際空港で計224便をキャンセルすると発表した。特に、香港を基盤にするキャセイパシフィック航空の職員の多くがストに大きく関わったため、香港と海外を結ぶ移動手段を奪われた国際便の乗客も多かった。

 それだけではなく、ついにデモ参加者は、香港空港で利用客の移動を妨害したり、現場を取材する記者に暴行を加えたりと、暴徒化する傾向を強めている。