中高年~高齢者の突然死――発症から死亡までが24時間以内の8割以上は、心血管疾患が原因だといわれている。特に飲水量が減り、飲酒の機会が増えるこれからの季節は、脱水、アルコールの多飲、そして屋内外の寒暖差という条件が重なり、リスクが上昇する。12~2月の突然死は夏の5~7倍で、思わぬ落とし穴になるのが家庭内の風呂場だ。(医学ライター 井手ゆきえ)
ビール中瓶5本、日本酒5合で
浴室内での突然死リスクに
「入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究」(研究代表者・堀進悟、厚生労働省科研費2013年度)によると、入浴中の死亡事例は年間で1万9000人以上と推計され、多くは自宅の浴槽で起こっている。
同研究に協力した日本法医学会の調査(実施期間:2012年12月15日~2013年3月15日、調査対象は浴室内で発見された法医解剖例および死体検案例1441例)では、調査対象の半数に「死因に関連する傷病」があり、動脈硬化性の心臓疾患、高血圧、糖尿病などの持病を持っていたことがわかっている。その他は脳梗塞、脳出血、外傷などだった。また、アルコール検査が実施された1211例のうち、アルコールが検出されたのは398例で、全体の13%にあたる192例で飲酒が死亡に影響したと推測されている。