「課長、いつですか?」
「12月24日です。今回はわが社の取引先でもある乙ホテルで、盛大なクリスマスパーティーをやりますよ!しかも会費は昨年までと同じで5000円です」

 それは2日前のことだった。忘年会プランの集客が伸びず困った乙ホテルの営業担当者が、B課長に「代金をオマケしますからウチで忘年会をしませんか?」と持ち掛けたのだ。

 これまで毎年忘年会の会場にしていた居酒屋が営業終了となり、新たな会場探しに苦労していたB課長は、「渡りに船」とばかりに二つ返事で承知した。

「乙ホテルは地元では有名だし、豪華でおいしい料理が食べられる。これは皆が喜ぶに違いない。それに乙ホテルには貸しもできるから、これからの取引が有利になるぞ」

 周りがざわつく中、A子はB課長の話をぼーっと聞いていた。

「忘年会は12月24日か、ふーん…えっ?この日は仲間とのクリスマスパーティーの日じゃん。ヤバい!」

 急に頭が冴えたA子は、昨年の忘年会の光景を思い出した。

「A子君、こっちへ来なさい」

 酒が入ると説教魔と化すB課長の横に座らされ、社会人としての心構えに始まり、仕事へのダメだし等、1時間以上クドクドと言われ続けた。その間A子は出された料理を食べることもできず、ただだまって聞いているしかなかった。

 その上、B課長はカラオケが大好きで、宴会の後半になると女性部下を次々と指名し、無理やりデュエットを強制した。カラオケが苦手なA子にも容赦なかった。