これまで、私とアルメニアとの接点といえば、2002年、NHKスペシャルの取材でドバイ、イランを回っていたとき、イラン国内でアルメニア料理を体験したくらいだった。しかし、『アルメニアを巡る25の物語』のページをめくっていたら、ポゴシャン氏との接点をいくつも見出した。

IT立国を目指すアルメニアに
世界最先端クラスの教育機関

 まずは、山梨県との接点だ。私は2007年から山梨県の観光懇話会委員を嘱託された。一方、ポゴシャン氏も日本のなかで一番回っていたのは山梨県だと自慢している。甲府、韮崎、石和温泉、清里、河口湖、甲州ワイン、フルーツなど、響きあう共通の話題が多い。「山梨に植えられていたブドウの苗は、昔アルメニアからシルクロードを経由して日本に入った」と、資料のコピーを私に渡しながら、教えてくれた。

 もう1つの共通点はITだ。私が28年前に創業者の1人として創立した会社はIT企業だ。いまや数百名の社員を持つ会社に成長したが、当時は「中国に任天堂のような会社をつくりたい」という夢を持ち、東京のJR山手線田端駅の近くにあるマンションの一室で起業したのだ。

 ポゴシャン氏もITの話になると、目を輝かせていろいろなことを語ってくれる。IT立国を旗印に掲げているアルメニアには、世界初となるIT教育機関「TUMOセンター」があることを教えてくれた。12歳から18歳までの子どもたちが、放課後に自由にそのセンターを訪れ、各自のレベル別に、ウェブデザイン、ゲーム制作、アプリケーションツール開発、ロボティックスなど、様々なIT技術を学べる「部活」のような学習環境となっている。

「国賓などのVIPゲストが、必ずといっていいほど視察に訪れている」と、ポゴシャン氏は自慢する。さらに今日では、首都のエレヴァン以外にも、ディリジャン、ギュムリ、ステパナケルトにこのTUMOセンターが設立されている。