中国の仰天「監視社会」事情、人々は日常生活をどう規制されているか
監視カメラと顔認証システムのネットワークが網の目のように張り巡らされるなか、中国人はどんな日常を送っているのか(写真はイメージです) Photo:123RF

空港に一歩降り立つと
そこは監視カメラの世界

 中国は監視カメラの世界になりつつある。いや、都市部はすでに監視カメラの世界そのものだ。監視カメラの存在が、中国人の行動規範を変えつつある。今回のコラムは、その現状に関するレポートをお届けしたい。

 私は月に少なくとも1回くらい、中国を訪れる。各地を訪問するためだ。仕事の成り行き上、空港ではたいてい車での出迎えを受ける。帰る際も同じだ。以前は、ターミナルビルの到着階や出発階の前は、いつも大混雑状態だった。それが今や、車の流れがかなりスムーズになった。

 それは、監視カメラの威力のお陰だ。3分間以上ターミナルの前に駐車すると、監視カメラに車のプレートナンバーを記録され、その画像がビックデータによって解析されて、駐車違反とされる。車のドライバーは、後日、違反切符を取られ、罰金とポイントの減点に関する通知書が届けられる。弁解の余地はまったくない。監視カメラの記録が完璧だからだ。

 しばらく前、上海に出張していたとき、日本総領事館に近い上海の西側でタクシーをアプリで拾った。目的地は浦東の実家なので、市内を横断しなければならない。目的地をタクシーの運転手さんに告げると、運転手さんがかなり興奮した表情で喜んだ。「距離が遠いから喜んでくれたのでは」と最初は思ったが、どうもその喜び方が少し異様だった。

 好奇心に駆られ、「なんだか楽しそうですね。普段、よくこの道を走るのですか」と聞いた。運転手さんは、「いや、これから夕食に行くから、ちょうど目的地と同じ方向に行くお客さんが乗ってくれたので、嬉しいのです」と答えてくれた。

 夕食を食べるために、上海市内を横断しなければならないのか。私はびっくりした。運転手さんの話をよく聞いてから、ようやく事情を呑み込めた。

 ついしばらく前までは、上海市内の西部エリアをよく走るこの運転手さんは、そのエリアの裏通りにある大衆食堂で夕食を食べていた。しかし、食事の時間になると、大衆食堂周辺には一時駐車するタクシーが急増し、裏通りは他の車が走行できないほどの交通渋滞状況に陥ってしまう。これまでは、交通整理の警官が来ない限り、タクシーの運転手さんたちは、住民の苦情を無視してきた。