米フェイスブックの経営幹部は、同社が米国の政治に与える影響について批判を受けている問題で、対処の仕方を巡り対立を深めている。FBの取締役会メンバーの1人である著名投資家のピーター・ティール氏は強い影響力を持っており、世間の圧力に屈しないようマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に助言しているようだ。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
火種の1つとなっているのが政治広告だ。関係筋によると、フェイスブックは9月、政治広告を引き続き受け入れ、事実確認も行わないとする方針を発表したが、ティール氏はこの物議を醸している決定を堅持するよう主張している。だが、一部の取締役や幹部は、政治広告を禁止する可能性を含め、変更を求めているという。
ザッカーバーグ氏をはじめ同社幹部はこれまで、政治広告に関して変更の可能性を引き続き検討していくとの考えを公の場で表明している。
フェイスブックの広報担当者は「決定の多くは困難な代償を伴っており、社内のあらゆるレベルで極めて慎重に精査している」と指摘。「当社の取締役会は幸運にも、多用な経験と観点を持ち合わせたメンバーで構成されており、広範な見解を確実に反映した議論が可能だ」と述べた。
ティール氏はコメントを拒否した。
フェイスブックの政治広告に関する決定に対しては、おおむね共和党と民主党で反応が分かれた。共和党内では、再選を目指すドナルド・トランプ大統領の陣営を含め、同社の決定を称賛する声が支配的だ。一方で、民主党では偽情報の拡散を食い止めるため、フェイスブックはさらなる措置を講じるべきとの意見が大勢を占める。
フェイスブック上層部で緊張が高まっている背景には、2020年の大統領選まで1年を切る中、対処すべき政治的問題が山積していることがある。同社は司法省を含め、複数の連邦・州の規制当局から、反トラスト懸念やプライバシー侵害の疑いなどで調査を受けている。また与野党双方の議員は、同社のサイト監視体制を問題視している。