企業の最高経営責任者(CEO)たちは2010年代を不安な気持ちで迎えていた。2008年の金融危機はあらゆる産業を苦境に陥れ、景気が回復してから最初の数年間、CEOらは資本の保全や慎重な雇用、脆弱(ぜいじゃく)な世界市場への注視を余儀なくされた。以来、CEOの役割は大きく変化した。S&P500種採用企業を分析した直近のデータによると、過去10年で売上高、利益、企業価値は着実に増加した。その間、調査会社エクイラーとカンファレンス・ボードによればCEOの平均任期は長期化し、報酬パッケージは毎年増加している。一方、成長は新たな頭痛の種ももたらした。例えば、グローバル化はナショナリズムの波に押されて複雑化し、貿易戦争や広範な移民政策の見直しにつながっている。CEOは市民権から気候変動に至るまで、さまざまな問題で意思表明することがますます求められるようになっている。大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が毎年実施するCEO調査の分析によると、人工知能(AI)やビッグデータ、サイバーセキュリティーは単なる流行語から現代の企業経営者が直面する真の課題へと変化した。
CEOの役割、過去10年でいかに変化したか
企業は成長し報酬は増えたものの、新たな頭痛の種も
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