2020年も、メインシナリオは「薄曇り」

 景気は、自分では方向を変えない。したがって、何事もなければ、来年の景気は横ばいか若干の低下といったところであろう。しかし、政府が経済対策を策定したこと、米国の連邦準備銀行が利下げの一旦休止を示唆したこと(景気に自信を持ったことが背景)、諸外国の景気先行指数が下げ止まった模様であることなどを考えると、先行きに関しては横ばいか若干の上向きというのがメインシナリオだと考えて良かろう。

 東京オリンピックが終わることで景気が悪化するという見方もあるが、筆者はそうは思わない。前回のときとは日本経済の規模が全く異なり、オリンピック特需が経済に占める位置付けが今回は相当小さいからである。

 加えて、「労働力不足だからオリンピックが終わってから着工しよう」と待ち構えている建設プロジェクトが多数あると言われていることも、安心材料である。

第一のリスク要因は「米中冷戦」

 もっとも、1年前と比べて景気悪化の可能性が高まりつつあることには留意が必要である。第一の要因は、「米中冷戦の激化」である。米中関係は、単なる貿易戦争ではなく、覇権を懸けた冷戦の様相を深めつつある。

 米国には、「中国が不正な手段で技術を盗み、それを利用して強大化し、米国の覇権を脅かそうとしている。したがって、今のうちに中国をたたきつぶしておかなければならない」と考えている人も多い。

 これについては、少し古いが拙稿「米中関係は『貿易摩擦』ではなく『新たな冷戦』に突入した」をご参照いただければ幸いである。