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データサイエンティストの冒険

【新連載】アナリティクスとの出会い――知る力、予見の力がもたらす新たな世界

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第1回】 2012年8月6日
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SASのCEO自ら
ブレード・サーバーの構成を説明

 今は10年前とは違う。探究的なデータ解析も含めコンピューティング能力は飛躍的に向上していて、アナリティクス領域に携わる者として、技術の進化を日々目の当たりにしており、驚きの毎日である。

 先日もSAS Institute(本社:米ノースカロライナ州)の本社トップによる最新テクノロジーに関する説明会が東京六本木において開催された。筆者は数理モデルや技術基盤のアーキテクチャ全般に関する同社とアクセンチュアによるアーキテクト顧問委員会でアジア太平洋地区代表委員を務めている。海外出張が前日まで重なっていたのだが、それでも内容を確認したかったため、朝便でサンフランシスコから羽田について、そのまま会場に行くと言う無理をした。

 CEOのDr. Jim Goodnightとは2月に一度会っている。アーキテクト顧問委員会の長は、彼自身が務めているのだ。今回のスピーチでは、自ら汎用的なブレード・サーバーの構成を説明することで、現在のコンピューティング能力の向上を印象付けた。

 キャビネットひとつに最大で48ブレードを搭載すると、最大プロセッサコア数が1536、6.1TB(テラバイト)のメモリ、57.6TBのディスクのコンピューティング資源を有することになる。その能力を使って、超並列分散処理による高速な解析処理、ビジュアル化が可能で、解析例のデモでは10億行のデータを5秒で相関行列のカラーコードにして返していた。確かに処理能力のスピードアップには目を見張るものがある。

 その場で、上席副社長兼最高マーケティング責任者のJim Davisと直接話して、聞きたいことを聞いたのだが、処理の前後関係が厳格で、カイ二乗処理をして逐次直列処理してデータを分岐させていく決定木分析などは、このツールでの並列処理対象に現状では実装されていないとのこと。経営コンサルタントや解析アナリストが好んで活用しているアルゴリズムなだけにまだ改善の余地があると感じたものの、かなりのアルゴリズムが実装されており、恐るべき処理能力を実現している。Jim Goodnightの説明では、某欧州の銀行において、顧客スコアリングモデルの計算処理に15時間要していたのだが、このアーキテクチャの実装により、その処理が3分で実現され、更なる経営意思決定の迅速化により、打ち手の精度があがったと言うから驚きだ。

 いずれにせよ、テクノロジーの進歩は目覚ましい。アナリティクスはこの圧倒的なコンピューティング処理能力をてこに、数理アルゴリズムで予見力をもたらす。それが経営トップに対してであれ、現場に対してであれ、未来を知る力を与え、活用する現場に成功をもたらす。

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工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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