子どもに届けるからこそ
表現にこだわった

 今年の10月には、神戸の小学校で教員が教員をいじめるという前代未聞の事件が起きた。加害者の女性教諭は謝罪文で「自分の思いがあって接していたつもり」「かわいがってきた」などと述べている。山崎さんは「子どものいじめの場合も同様で、『仲良くしているつもり』と、加害者側の加害意識は極めて低いんです」という。

「いじめは、被害者と加害者の間で、行為に対する認識にズレがあるんです。僕はどちらの立場も経験したからこそ、『いじめ』という問題がいかに複雑なのか、そして解決が難しいのかを痛感しました」

 そんな思いを抱えて大学へ進学し、いじめの問題について研究することを決心した山崎さん。自分が「子どものときに法律の知識を持っていれば良かった」と思ったことと、法教育が進められているという昨今の教育現場の状況も踏まえ、法教育を通じた「いじめ問題」へのアプローチが始まったという。

「たとえ多くの需要がなくとも、小学生の頃の自分はこういう本が欲しかった。過去の自分へ贈りたいという一心で、学部3年生のときに『こども六法』のプロトタイプを作りました。そこから、このプロジェクトに協力してくれる人々が集まりました。それからクラウドファンディングで資金を募って、プロトタイプの発表から約5年後に、ようやく出版までこぎ着けることができました」

 プロトタイプの完成から出版までの年月を、山崎さんは「しんどい5年間でした」とこぼす。なかでも、子どもでも理解できる文章へ近づけるという、本書最大の特徴を作り出す行程は、困難を極めたという。