ブラック部活が消えない背景とは...?「休まず頑張る」のが美しいとの価値観は、就職以前の学校教育で子ども達に植え付けられる Photo:PIXTA

過度な部活の見直しが進んでいない。背景には、「休まず頑張る」ことが人間にとって何よりも大切だという、信仰にも近い思い込みがある。教育現場でこの信仰を身につけた人は、社会に出ても心身が悲鳴をあげるまで働いてしまう。ブラック部活こそが、日本企業に蔓延するパワハラや、頑張りすぎを生み出しているのだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

ブラック部活を後押しする
保護者も少なくない現実

 今週末からいよいよ10日間の大型連休がスタートする。と言っても、「ごく普通に仕事だよ」とシラけている人も多いことだろう。テレビがお祭り騒ぎするように、海外旅行だキャンプだと浮かれことができるのは、ほんの一握りの人なのだ。

 そんな風にシラけているのは社会人だけではない。中高で部活に燃える子どももそうだ。連休中には大会などのイベントが催されるため、いつもより忙しいという部活も多いのである。それがうかがえるのが、4月23日の「上毛新聞」の「10連休 部活休めない 保護者や指導者悲鳴 総量規制徹底されず」というニュースだ。

 ご存じの方も多いかもしれないが、実は近年、子どもや教師への負担増から、部活を見直すべきという動きが進み、全国的に練習時間を制限するなどの「総量規制」が行われている。

 群馬県もしかりで、2018年度から「総量規制」がスタートした。が、記事によるとそれが現実にはまったく守られず、この10連休も7日間朝から晩まで練習漬けの部活が多く存在しており、手弁当で関わる指導者や保護者が悲鳴をあげているというのだ。

 背景には、先ほども触れたように、連休中に「大会」や「試合」が集中することもあるが、一部の保護者への「忖度」がある。部活の練習時間が短かったり休日が多かったりすると、「休みすぎる」「やる気がない」とクレームを入れる”体育会系保護者”がいるというのだ。

 こういう話を聞けば聞くほど、日本の体罰、パワハラ、長時間労働からの過労死という一連の「ブラック労働カルチャー」というのは、「部活動」というシステムが底支えしているのだなあ、とつくづく感じる。