ネット上での「晒し」は
刑事事件化すればOKなのか?

 とはいえ、こうして彼が足で稼いだ情報も、時には誤報だったこともあるという。だが、それも「(プロである)マスコミでも時折、ある話です」と意に介さない。職業記者としてマスコミで働く気はなく、今のように完全中立な立場を貫ける素人の個人として、言論活動を今後も続けていくと話す。彼にとって言論は「趣味」というスタンスで、「しょせんは(ネット上の)井戸端会議です」と悪びれる様子はない。

「加害側教員の現在の滞在先とされるところにも行ってきたのですが、結局、本当に彼らが滞在しているのかどうか分かりませんでした。何とか彼らの居場所を突き止めたいです。分かれば、もちろんネットにアップします」

 この彼がネット上で発信するか否か、その基準としているのは「決定的な証拠の有無」だそうだ。この「神戸市教員間いじめ・暴行」事件では、その発覚当初から、メディア発で「激辛カレーを目に塗られる様子」を撮影した動画が報じられた。この動画こそが彼のいう「決定的な証拠」なのだという。

「この証拠がある限り、メディアが報じない実名や顔写真、経歴をネットにアップしても、それは大勢の人の“知る権利”に応えたものと言えますから」

 確かに、マスコミが広く報じた「羽交い絞めにした男性教諭の目に激辛カレーを塗る」行為を収めた動画は、その内容から「加害者」と「被害者」であることが分かる証拠かもしれない。だが、これをもってして刑法上でいうところの「傷害罪」にあたるかどうかの判断を素人が行うことは、どこか危うさを感じずにはいられない。ましてや、いまだ、刑事事件として立件されていない案件だ。

 それにしても、このメディアが報じた動画のみを根拠とし、「どうせ近い将来、刑事事件として立件されるのだから」という理由で、その当事者の実名はもちろん、住所、経歴、家族構成や家族の名前、職業など、報道機関も明らかにしないような個人情報をネット上にアップしてもいいのだろうか。

 インターネット問題に詳しい小沢一仁弁護士(東京弁護士会)は、「するべきではありません。そこまで(加害側とされる教員が)される理由はありませんから」とコメントした。