「長髪でも働ける会社」として博報堂を選んだ
僕は、もともと「オープネスが高い場所じゃないと生きていけない」人間です。形式ばったことが大嫌いだから、高校の卒業式には出ていませんし、博報堂に入ったのも「長髪でも問題なし」というのが大きかった。「なんでわざわざ会社のために髪切らなきゃいけないんだ? 意味わからない」って思ってしまう。
幼少期の頃からその本質は変わっていないので「オープネスが高い会社じゃないと無理!」という判断軸がはっきりしていたんですね。そういう風に、自分がどのくらいオープネスを求めているか自覚するのが、実は重要ですよね。
逆に、ルールや規則を重んじて、周りと同じ行動をするほうが性に合っている人もいるかもしれません。「髪ごときで会社を選ぶなんて、そこまで開放的な職場じゃなくてもいいよ」という人も多い気もします。
20代で「今は体力があるし手に職をつけたから、何も言えない厳しい職場でも修業のつもりでバリバリ働きたい」人もいるでしょう。給料さえよければ何時間でも働くという人だっていますよね。
だから職場選びというのは、その時の自分の年齢や希望する働き方に合わせて考えるのが基本的なスタンスでいいと思うんです。ただ、オープネスが低い会社は業績があがりにくいので、これから生き残るのが難しい時代になっていきます。そこは意識して仕事選びをしたほうがいいでしょうね。
「働きやすい職場」を求める気持ちは年齢とともに上がる
――本を読んで意外だったのは、「仕事第一」で生きてきたはずの管理職レベル世代の人が「職場への満足度」を求めていることでした。
この結果は、要するに彼らの「期待値」が調整されたっていうことですよね。20代の頃は、文句も言わずにバリバリ働いて、大きな会社の中で昇り詰めていくことが、ダイヤモンドのように手に入れる価値があるように見えた。
けれども、10年くらい働いたら、そこまで価値がある石じゃないことに気がついた。上の世代にそういう人がたくさんいる事実が、はじめてデータとして表れたと思います。