待望の新刊、『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』が発売5日目に重版し、3万部を突破。著作の合計部数も30万部を超えた北野唯我氏。いま、人材マーケット最注目の論客であり、実務家だ。
その北野氏が、今回選んだテーマは、「組織」。「ウチの会社、何かがおかしい?」という誰もが一度は抱いたことがある疑問を科学的、構造的に分析し、鮮やかに答えを出している。
なぜ、あなたの職場は今日も息苦しいのか。具体的に、何をすれば「オープネスが高い」組織がつくれるのか。明日、少しでも楽しく出社するために、一人ひとりができることは何か。本連載では、これらの疑問について、独自の理論とデータから解説する。
書籍の中には経営者に向けたメッセージも含まれているが、経営者でない「一社員」の立場として、オープネスの低い会社とどう付き合えばいいのか? 両方の立場を経験している北野氏に、解決策を聞いた。(聞き手・構成/樺山美夏)
今、閉塞感のある職場で働いている人はどうすればいいか
――『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』を読むと、日本に風通しが良くて(オープネスが高くて)業績も良い会社は本当に少ないことがわかります。現状2つの条件を満たす会社で現在働いていなくて、自分が経営者でない人には救いがないのでしょうか?
本の中では、平成の間に時価総額を大きく伸ばして、「令和元年時点の時価総額トップ20」以内に入り、なおかつオープネスが高い会社として、「リクルート、ソフトバンク、ユニクロ(ファーストリテイリング)」の3社を紹介しています。その3社で働ける人は、確かに限られますよね。
もちろん他にも、オープネスも給料も高い会社はあると思いますが、それだけ条件がいい会社は人気も高いので、誰でも簡単に入社できるわけではありません。
そう考えると単純に、自分の能力との兼ね合いで会社選びをすることになりますよね。その際、「給料も大事だけど働きやすさを優先したい」という人は、会社の規模や業績は度外視して、「とにかくオープネスが高い職場を選ぶ」という判断をするのはひとつの選択肢だと思います。
ただ、入社した以上は自分自身も「職場のオープネス」を高めていく努力をしないといけません。職場の風通しが悪くて息苦しくなるのは、もちろん経営者の責任も大きいのですが、そこで働く人たちにも責任がある。
一方で、オープネスが低くても給料が高い会社もたくさんあります。超トップダウンの企業や投資銀行などはそうでしょう。
でも、すべての人が給料のためだけに働いているわけではないですよね。
・22時まで残業して年収1000万円
・18時まで働いて年収500万円
どちらがいいか聞かれたら、人によって意見は分かれるはずです。20代か50代か、といったライフサイクルや、独身か子育て世代か、といったライフステージによっても、自分に合った働き方の優先順位が変わる人はたくさんいると思います。