FRBにとって2020年は平穏も
金融政策への政治介入は継続か
2020年には、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融政策を維持する可能性が高い。金融緩和へとにわかに転じた2019年と比べ、2021年はFRBにとって平穏な1年となるかもしれない。しかし、そうした中にあっても、FRBにはなお課題が山積している状況だ。
FRBにとって2020年の大きな課題は、第1に中央銀行の独立性の問題、第2にトランプ政権のドル安志向、第3に金融政策枠組み見直し、の3点である。
2018年秋以降、トランプ大統領による金融政策への政治介入が絶えず続いている。それに対するFRB側からの強い反発を象徴的に示したのは、2019年8月
の米ウォールストリート・ジャーナル紙に、歴代FRB議長4氏の連名で、FRBの政治からの独立の重要性、政治介入の弊害を説く論説が寄稿されたことだ。明示はされていないが、トランプ大統領への強い批判が込められている。
ここでは、目先の政治的ニーズに応える金融政策を実施すると、長期的には高いインフレ率や低い成長率など、好ましくない経済環境を生む、との研究結果が紹介された。また、金融政策が政治の影響を受けているとの認識が広がるだけでも、中央銀行に対する国民の信認が低下し、それが不安定な金融市場や経済の悪化を生む、とも指摘されている。
中央銀行の独立維持には
国民のサポートが重要
ところで、トランプ大統領の政治介入を許しているのは、実は米国国民だとも言える。国民がFRBの独立の重要性を十分に理解しているならば、トランプ大統領の姿勢を強く批判するはずであり、そうなれば、大統領選挙への悪影響も踏まえてトランプ大統領はそうした行動を控えるはずだからだ。