組織で力を握っているのは誰か。外からは見えにくいが、中に入ればすぐわかる。管理職が、誰を見て仕事をしているか、である。

 日本郵政グループの場合は、民間から来た日本郵政や日本郵便の社長ではなく、要所に据えられている旧郵政官僚であり、その「ドン」が総務次官から天下った鈴木康雄副社長だった。

 その「力」は、出身母体の総務省にまでいまだ及んでいたことが、今回の情報漏洩事件はわかりやすい形で示した。

 事務次官といえば官僚組織の最高位で、見識・実績の申し分ない人物が就く役所を代表するポストだ。

 その「ミスター総務省」である鈴木茂樹次官(すでに辞職)は、郵政グループの違法販売とその責任を高市総務相と話し合ってきたが、その密談の内容を逐一、先輩の次官でもある、鈴木副社長に報告していた。

 天下った先輩に、行政情報をこっそり伝える不心得者が官僚組織にいるとは聞いていたが、事務次官が大臣の処分方針を相手側に漏らすのは前代未聞だ。

「断れない事情があったのでしょう」と高市早苗総務相は言う。だが相手が先輩であっても、「処分方針についてはご勘弁を」とやんわり断るのが普通の対応だ。

 二人の間に、情実を超えた「力関係」があったとしか思えない。

菅官房長官を後ろ盾に
郵政の内外に威光

 鈴木康雄氏は73年に旧郵政省入省。情報通信や放送行政を手がけ、2005年に郵政行政局長になる。小泉首相が郵政民営化をはげしく論じていた時期だ。

 当時の総務相は竹中平蔵氏。その下で省内人事を握っていたのは、総務副大臣だった菅義偉官房長官だ。

 郵政改革法案は自民党から造反者が出て否決されたが、小泉首相は「郵政解散」に打って出て勝利。翌年、菅氏が総務相になると鈴木は情報通信局長に就いた。

 政権との良好な関係を追い風に09年に事務次官に就任したが、この年、民主党政権が誕生し、わずか半年で退職した。

 自民党が政権に復帰すると、13年6月、日本郵政の取締役副社長として復帰する。