「かんぽ不正問題」で引責辞任することになった日本郵政の長門社長ら3人「かんぽ不正問題」で引責辞任することになった日本郵政の長門社長ら3人 Photo:JIJI

なぜ今さら元官僚たちに
日本郵政の統治を任せるのか

 日本郵政グループの再生は、官僚出身の経営陣に託されることになった。持ち株会社である日本郵政とかんぽ生命保険、ゆうちょ銀行の3社は既に上場しているが、上場企業としての体制整備の道のりは遠そうだ。

 保険商品の不適切販売を巡って、金融庁はかんぽ生命保険と日本郵便に対して、2020年1月からかんぽ商品の新規募集を3カ月間停止するよう命令。持ち株会社の日本郵政に対しては、業務改善命令を下した。

 一方、金融庁と同じく経営を監督する総務省は、日本郵便に対してかんぽ商品の新規募集を3か月間停止するよう命令するとともに、内部管理体制などに問題があるとして、日本郵政に業務改善命令を出している。

 一連の経営責任を取るかたちで、日本郵政の長門正貢社長、日本郵便の横山邦男社長、かんぽ生命の植平光彦社長の3人は、20年1月5日付で辞任。

 後任の新社長には、日本郵政が元総務相の増田寛也氏、日本郵便が日本郵政専務執行役の衣川和秀氏、かんぽ生命が同副社長の千田哲也氏が、それぞれ1月6日付で就くことになる。

 増田氏は旧建設省出身、衣川氏と千田氏は旧郵政省出身だ。郵政民営化の流れの中で、これまで銀行を中心に民間出身者がグループ各社のトップを務めてきた経緯があるにもかかわらず、なぜ今さら元官僚たちに統治させる体制を敷くのか。

 その人事のポイントになったのは増田氏だ。

 増田氏は旧建設省で河川行政などを担った後、1995年に岩手県知事選に立候補し当選。3期12年同知事を務め、07年に現官房長官で菅義偉氏から引き継ぐかたちで、総務相に就任している。

 岩手県知事時代から郵政民営化委員として、民営化の議論に参加しており、13年には民営化委の委員長にも就いた。