投資信託や生命保険で、高齢者を食い物にするような不適切な販売が横行していた、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険。信用を失墜させたその背景には、日本郵政の首脳陣による日和見主義が見え隠れしている。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
日本郵便とかんぽ生命保険が、保険料の二重払いなどによって、少なくとも9万件超の契約で顧客に不利益を与えていた問題で、7月10日の記者会見後も火の手は一向に収まらず、事態はついに8月までの新規保険営業の自粛と、契約の全件意向確認にまで発展した。
契約数が2900万件にも及び、両社にとって「寝た子を起こす」リスクさえある作業にあえて踏み切った背景を探ると、垣間見えるのは政府・自民党による強烈なプレッシャーだ。
折しも永田町は選挙一色の状態にある。全国郵便局長会(全特)が支援する現職議員が、参院選全国比例区で出馬する中で、自民党は40万票にも達する郵政組織の圧倒的な集票力に、並々ならぬ期待をかけているわけだ。
政治家がただでさえ神経をとがらせているこの時期に、集票に影響を及ぼしかねないような問題を顕在化させ、さらに記者会見での火消しに見事に失敗するその姿は、政府・自民党の不興を買うのに十分だった。