楽観できない
韓国経済の先行き

 長めの目線で考えると、徐々に韓国では経済成長率が低下し、状況によっては大挙して資金が流出するなど、かなり厳しい状況を迎える懸念は排除しきれない。

 半導体産業以外の業種に目を向けると、韓国企業を取り巻く事業環境は楽観できない。2019年、韓国の大手自動車メーカー5社の販売台数は前年から3.8%減少した。現代自動車などは2020年の販売動向に関しても慎重だ。左派政権下で激化する労働争議、内需の落ち込みなど、先行きの懸念材料は多い。

 より安定し、自由度の高い操業環境を目指して韓国から海外に事業拠点を移す企業も増えるだろう。その背景要因として、中国の需要後退と過剰な供給能力による低価格競争の激化、韓国における少子高齢化による労働コストの高まりと人手不足などがある。

 すでに、LGディスプレイやサムスンディスプレイは韓国国内での液晶ディスプレイ生産を縮小している。企業の海外進出が増えれば、内需の厚みを欠く韓国経済において、雇用や所得環境は一段と冷え込むだろう。

 同時に、世界経済の不確定要素も増えている。イランと米国の関係悪化を受け、原油価格には上昇圧力がかかりやすい。原油価格が上昇傾向をたどると、徐々に世界全体でインフレ懸念が高まり、金利に上昇圧力がかかる。低金利環境は世界経済を支える重要な要素だ。中東情勢の緊迫感の高まりを受けて世界経済の先行き不透明感が増せば、外需依存度の高い韓国経済の減速懸念が高まり、これまで以上のペースで資金が流出することも考えられる。

 不確定要素が増大傾向にある中、韓国の企業が自力で成長に欠かせない新規事業を育成することは口で言うほど容易なことではない。人口減少に伴い、韓国国内での投資は減少していく。総選挙を控え、文政権が企業寄りの政策運営に真剣に取り組むなど、経済改革が進む展開も想定しづらい。

 こうした状況が続くと、徐々に韓国経済は縮小均衡に向かう恐れがある。市場参加者にとって、韓国経済の明るい展開は想定しづらい状況が続きそうだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)