本音を知りたいなら、自分から
そもそも、なぜ部下と「本音で語り合いたい」と思うのか。
それは、日々の仕事についての改善したい点・気になること・要望・悩みなどを溜め込まず、どんどん相談してほしいと考えるからでしょう。
ならばリーダーの側から「日々の仕事についての改善したい点・気になること・要望・悩み」などを部下に相談しましょう。
心理学には「返報性の法則」というものがあります。これは、相手から施しを受けたときに「お返しをしたいな」と感じる心理作用のことです。部下に本音で話してもらいたいのならば、まずリーダー自らが鎧兜を脱いで、本音で部下に話しましょう。
私もよく、部下に本音で相談していました。恥ずかしい話ですが、私は若い頃、どうも会議できつい口調で励ましすぎてしまうところがあり、メンバーをしゅんとさせてしまうこともありました。反省はするのですが、いざ会議になるとやはり熱が入ってしまい、語気が強くなってしまうのです。
そこで私は、会議の後、腹心の部下に「さっきの話、みんなはついてこれていたかなぁ」「もっとトーンダウンして話したほうがいいかなぁ」と、よく自分から相談していました。
腹心の部下はストレートに「あれくらい強く言っちゃったほうがかえってよかったんじゃないですか?」と言うこともあれば、「前回言ったことに一生懸命とり組んでいる段階で、また新しいことを吠えた。まだ消化し切れていないと思いますよ」といさめてくれることもありました。
メンバーとの信頼関係が高まってからは、腹心の部下だけでなく、メンバーそれぞれに相談する機会も増えました。するといつしか、部下の側からも「本音の相談」が寄せられるようになりました。「風通しのいい雰囲気になってきたな」と嬉しくなったのを思い出します。
本音を引き出すには、まず「自分から」です。一方的に探ろうとすると、敬遠され、信用を失うと心得ましょう。