1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。
【悩み】部下とコミュニケーションを積極的にとっていますが、個人のプライベートに踏み込むことに躊躇しています。この点はどのようにお考えでしょうか?
あなたの姿勢は全面的に正しいです。ふだんから仕事に関するコミュニケーションを積極的にとれているのであれば、何も「さらに関係を深めよう」とプライベートにまで踏み込む必要はありません。
あくまでも仕事を中心にコミュニケーションをとり続けていれば、その中で「仕事に影響を与えるプライベート」について話題に上ることが必ずあります。そのときに初めて、プライベートの話を聞いてあげればよいのです。
いきなり「奥さんとの仲はうまくいっているのか?」と聞かれたら、「なんでそんなことをいきなり聞くんだ」と感じるはずです。職場で明らかに眠そうだなと感じたときに「どうした? 寝不足か?」と声をかける程度で十分。部下から「実は毎晩、夫婦げんかが絶えなくて……」と吐露してくれるのを待ちましょう。
人はそうそう「本音」を話さない
「人間、そんなに簡単に心を開いて、自分の悩みをペラペラと話すものではない」という前提を忘れてはいけません。
リーダーが相手だからといって、自分の気持ちを正直に話したり、弱みや悩みを打ち明けたりする義理はメンバーにはないのです。
「部下と本音で語り合える雰囲気をつくりたい」と望むリーダーは多くいます。
しかし信頼関係のできていないうちに「さあ、本音で語り合おうぜ」と言われても、部下の側は構えます。まるで自分の本音がリーダーにチェックされ、監視されるような印象を抱くからです。