株式投資の成果を左右するのは、銘柄選びだけではありません。売買のタイミングも重要です。株で利益を出し続けている人たちは、チャートのどこを見て売買を判断しているのでしょうか。「ボリンジャーバンドが、株価に勢いがついた瞬間を捉えるのに役立つ」と話すのは、2000億円超を運用した元ファンドマネジャーで、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、その売買判断のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【株のプロが教える】株で勝てる人が見逃さない「買い時・売り時」のサインPhoto: Adobe Stock

ボリンジャーバンドで「株価の変化」を読む

「ここまで上がったのだから、そろそろ下がるだろう」

 株価が大きく上昇すると、そう考えて売りたくなる人は少なくありません。反対に、急落した株を見ると、「もう十分に下がったから、そろそろ反発するはず」と買いたくなることもあるでしょう。

 しかし、株価が勢いよく動き始めた直後に逆張りをすると、そのまま上昇や下落が続き、大きな損失につながることがあります。

 そこで役立つのが、ボリンジャーバンドです。

 ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、値動きのばらつきを表す「σ(標準偏差)」を使って上下に線を引いたテクニカル指標です。一般的には、移動平均線の上に「プラス2σ」、下に「マイナス2σ」の線を表示します。

 窪田さんが注目するのは、「バンドの幅がどう変化しているか」です。

 値動きが小さいと、上下のバンドの幅は狭くなります。反対に、値動きが大きくなると、バンドの幅は広がります。つまり、バンドの幅を見ることで、相場が静かな状態なのか、値動きが激しくなっているのかを視覚的に把握できるのです。

プロが最も信頼した「売買シグナル」

 窪田さんの著書『株トレ』に掲載されている次の2つのチャートを紹介します。

 どちらも、数カ月にわたって一定のレンジで株価が推移し、ボリンジャーバンドの幅が狭くなった後、株価が大きくバンドの外へ飛び出した瞬間です。

ボリンジャーバンドの幅が狭くなったところから、株価が大きく動いた瞬間ボリンジャーバンドの幅が狭くなったところから、株価が大きく動いた瞬間

 J社の株価は急上昇し、上側のバンドを超えました。一方、K社の株価は急落し、下側のバンドを割り込んでいます。

 窪田さんは、このチャートを見て、「J社は買い、K社は売り」だと判断します。

 ボリンジャーバンドの幅が狭い状態は、株価が上にも下にも動きにくく、方向感が定まっていない局面です。そこから株価がバンドの外へ勢いよく飛び出したのは、それまでとは異なる値動きが始まったサインと考えられます。

 J社では、何らかの好材料を受けて、投資家が一斉に買い始めた可能性があります。反対にK社では、悪材料が出て、売りが加速している可能性があります。

 そのため、J社を「上がりすぎ」と考えて売るのではなく買い、K社を「下がりすぎ」と考えて買うのではなく売る。値動きに逆らわず、動き始めた方向についていくのが基本です。

 窪田さんは、この「バンドの幅が狭いところから、株価が外へ大きく飛び出すパターン」を、ファンドマネジャー時代に最も信頼していた売買シグナルの一つとして挙げています。

株価がバンドを超えたら、いつでも売買していいわけではない

 ただし、株価がバンドの外に出たら、いつでも売買すればよいわけではありません。

 すでにバンドの幅が大きく広がり、株価がかなり上昇または下落した後では、トレンドの初動ではなく、値動きが過熱している可能性があります。この段階で飛び乗ると、直後の反落や反発に巻き込まれかねません。

 見るべきなのは、バンドの幅が狭い状態から、株価が初めて勢いよく外へ飛び出したタイミングです。

 加えて、売買高が急増している、大陽線や大陰線が出ているといったシグナルも重なれば、相場の勢いをより判断しやすくなります。

 一方で、どれほど有力に見えるシグナルにも「ダマシ」はあります。買った直後に株価が下がったり、売った後に反発したりすることは避けられません。

 大切なのは、想定と逆に動いたら速やかに損切りすることです。チャートから読み取れるのは未来の確定した答えではなく、その時点で買いと売りのどちらに勢いがあるかです。

 天井や底を当てようとせず、相場が動き始めた方向についていく。ボリンジャーバンドは、その変化を見つけるために活用できる指標なのです。