リーダーの「悩み」の多くは、仕事ができない部下から生まれる。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で18年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。

【仕事ができない部下ほど、相談に来ない】部下が「相談に来たくなる」2つのしかけPhoto: Adobe Stock

仕事ができない部下ほど、相談に来ない

【悩み】「こんなことになる前に早く相談に来てくれよ」と思うことが多々あります。自分は相談されやすい上司を目指していますが、なかなか難しいと感じます。

 リーダー研修で受講者に「部下に対して、『こんな状態になる前に早く相談してくれよ……』と感じることはありますか?」と聞くと、ほとんどのリーダーが「はい」と答えます。

 早めに相談してくれる部下もいるが、そのような部下は相談がいらないくらい優秀な人。本当に相談に来てほしい人はまったく来てくれない……というのが多くのリーダーの悩みです。ならば、と私は質問を変えて受講者に問います。

「みなさん自身は、自分の不出来をさらけだして、上司に早め早めに相談できていますか?」

 するとほとんどのリーダーが、自分自身も上司への相談がタイムリーにできていないことに気づきます。相談を巡る上司と部下のすれ違いは、それくらい根深い問題なのです。

「相談しづらいオーラ」6パターン

 部下から上司への相談が遅れがちになる理由は、次の6つに大別されます。

(1)忙しそうにしている上司の手を煩わずらわせたくない

(2)以前相談したとき、上司の反応が冷たかった。パソコンを見たまま顔もあげず、低い声で「何?」と言われた。それがトラウマとなり相談できない

(3)ふがいなさをさらけ出すことによって「この部下は大したことがない。無能だ」と思われ、評価が下がるのが怖い

(4)1対1で上司と話すこと自体がプレッシャー。叱られそうなことなんて、とても言えない

(5)自分なりに挽回しようと奮闘したけれど、カバーし切れなくなって相談。もしくは、自分で抱え込んで深追いしすぎて相談が遅れる

(6)上司自身が常に、「リーダーは優秀でなければならない」というふうに振る舞っていて、部下もそう感じている。だから弱みをさらけ出せない

 いかがでしょうか。心当たりはありませんか?

 これらのケースを見てわかるように、リーダーが「相談しづらいオーラ」を放っているがために、部下からの相談が遅れるケースが多々あります。どうすれば「相談しづらいオーラ」を消すことができるのでしょうか。