お金
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人生はみずからの手で切りひらける。そして、つらいことは手放せる。美容部員からコーセー初の女性取締役に抜擢され、84歳の現在も現役経営者として活躍し続ける伝説のヘア&メイクアップアーティスト・小林照子さんの著書『人生は、「手」で変わる。』からの本連載。第2回、お金持ちになることへのあこがれが募っている人へのメッセージ。

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小林照子
小林照子(こばやし・てるこ)
美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数。未来の女性リーダーを発掘、育成するアマテラス・アカデミアを運営、現在2期生を募集中(撮影/写真部・片山菜緒子)

 私は今まで「お金持ちになりたい」と言って、実際にお金持ちになったひとを見たことがありません。また「どうやったら儲かりますか?」と、まず大きく儲けることから話を始めるひとで、会社を右肩上がりで成長させている経営者も一人も見たことがありません。

 何の目的もなく大金が欲しいと口にするのは、小学生が「将来、王様になりたい」と言うのと同じです。お金は、そのお金が何のために必要なのか、目的がはっきりしているひとの元にしかとどまらないものなのです。

 老後2000万円不足問題などもありましたから、いまは若いうちから、自分の老後のために投資を始める方も多いと聞きます。自分や家族の将来を守るのは、もちろん大切なことです。でも、お金は多く持っているに越したことはない、などということはありません。「何に使うか」が曖昧なお金は、結局はつまらないことに使ってしまうもの。そういうお金は、溶けてなくなってしまうのです。

 やみくもにお金を追い求めようとするのではなく、最初にしなければならないのは、「自分はどんなふうに生きていきたいのか」を明確にイメージすることです。そして「自分の夢の実現のためにはいくら必要なのか」をある程度算出してから、お金を稼いでいくことです。その思考法でないと、まず夢は絶対に実現しませんし、お金を稼ぐといってもただがむしゃらに働いていたのでは、途中できっと息切れしてしまうでしょう。

 でも私はこうも思います。

 そもそもお金は、むやみやたらに追いかけてはいけない、と。たとえ大きな収入にならないようなお仕事であっても、「経験」や「人脈」が手に入るのなら、そちらを選ぶべきです。目先の収入に飛びつくと、あとで後悔することのほうが多くなります。

人生は「手」で変わる。
人生は「手」で変わる。
小林照子 
朝日新聞出版
定価:1540円

 きちんと経験を積み上げるという努力は、必ずひとが見ています。そして必ずその努力を評価してくれるひとは現れます。そのときが待ちきれず、多くのひとが途中で努力を放り出し、「お金」のお尻を追いかけてしまいがちですが、「お金はあとから、ついてくるもの」。

 そう考えることが実は一番、「成功への近道」になるのです。

【しなやかに生きる知恵】
お金はつかもうと追えば、逃げるもの
お金は努力のあとに、ついてくるもの

AERA dot.より転載