例えば観客動員数を見れば、球団社長に就任する前年の2013シーズンの126万439人が、昨シーズンは球団新記録となる166万5891人へと激増。比例するようにグッズの売り上げや、球団が指定管理者となっていた本拠地、千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)内における飲食の売り上げも右肩上がりで伸びてきた。

 球団名に「ロッテ」が入って50年目となる2018シーズンには、収入の三本柱となる入場料、グッズ、飲食のすべてで当時の過去最高益を更新。親会社からの補填に頼ることなく初めての黒字化を果たし、純利益額は3億8513万円、利益剰余金は4億1767万円をそれぞれ計上した。

「メディアで取り上げられる、といったことがなかなかなかったものですから。あえてちょっと捻ったようなことや、プロ野球界初と銘打ったことなど、いろいろな企画でファンの方々やメディアの皆さんを振り向かせるような施策をずっと行ってきました」

 チーム強化の面でも2015、2016シーズンと2年連続してAクラス入り。マリーンズにとっては31年ぶりとなる快挙を達成するなど、車の両輪に例えられる経営力とチーム力を同時に強化してきた。まさにマリーンズを生まれ変わらせた山室氏が、野球界と接点を持ったのはそもそもなぜなのか。

「火中の栗を拾うような仕事を」
そんな熱意から千葉ロッテ再生の道へ

 三重県桑名市で生まれ育ち、桑名高、立教大、そして社会人となった後もラグビー部に所属。186cmの長身を見込まれ、ロックとしてプレーした山室氏は野球界との間に縁が生まれた経緯を「本当にたまたまなんです」と振り返る。

「銀行の執行役員として子会社の社長を務めていましたけど、こう言うとちょっとよくないかもしれませんが、天下り的だったというか、ストレスのある仕事がなかった。私からすれば、こんなところで終わりたくないという思いがありました。なので、銀行時代にお付き合いさせていただいた財界人の方を含めたいろいろな方に『もっとチャレンジングな、面白い仕事がしたい』と相談していたんですね。潰れかかったような企業の再生でもいいし、苦労している業界の再生でもよかった。報酬や待遇といった面ではなく、とにかくやりがいのある仕事を、と望んでいた中で『ちょうど面白いものがある。お前が言っていた仕事にピッタリだろう』と紹介されたのが、プロ野球の話だったんです」