その後、第二次安倍政権で、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針、2015年6月閣議決定)に「かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討する」と明記された。

 これを受け、経済財政諮問会議が2015年末に決定した「経済・財政再生アクション・プログラム」で、2016年末までに結論を得るなどの工程表が示されたが、その後も結論は二度先送りされた。

 現在は、2018年度の骨太方針で、改めてその導入について検討することとされ、2020年度の骨太方針で結論を出すことになっている。全世代型社会保障検討会議の最終報告と同じタイミングということになるが、今度こそ、先送りせずに案をまとめて具体化すべきだ。

「保険給付7割」は
金科玉条なのか?

 現役世代を中心とした保険料の負担と患者自己負担を前提にした医療保険では、新たな医療費の増加分を誰がどういう形で負担するのか、議論が難航しがちだ。

 中間報告には、外来受診時定額負担の今後の議論に関して、「平成14年の健康保険法改正法附則第2条を堅持しつつ」との条件が盛り込まれた。

 附則第2条というのは、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持するものとする」という条文である。

 医療費が増える際には、政策上、診療報酬(医療機関が得る収入)の単価を引き下げる選択肢を除けば、一義的にはその費用を保険給付(つまり保険料負担)の増額か患者の自己負担の引き上げに求めるしかない。

 つまり14年改正法の附則第2条は、増える医療費の財源について、基本的には自己負担割合の引き上げは求めず、保険料の引き上げで賄っていくという考え方を示したものだと考えられる。

 実際、これまでの、外来受診時の定額負担導入についての論議では、その導入が、自己負担割合の実質的な引き上げ、もしくは保険給付率の引き下げである以上は、附則第2条に反するという意見が、社会保障審議会の医療保険部会などであがっている。

 平成14年の健康保険制度改革の際には、高齢者の医療機関の窓口での自己負担を「定額」から「定率」に変え、現役層の負担割合も2割から3割に引き上げた。

それが政治的にも大きな見直しだったことは間違いなく、その際に、今後の自己負担の引き上げに一定の歯止めを設けることが国民の理解を得る上で必要だったことは想像に難くない。

 ただ逆にいえば、当時は医療費がいっそう増えていくことに対しては、保険料を引き上げていく余地があったということである。