業界人らしく、いつも深夜にいきなり連絡が来ることが多く、その度に「すぐ向かわせていただきます」と言って、深夜にラーメンを食べながら、トシキさんのテレビ論を聞いていました。

 トシキさんは昔かたぎのテレビマンで、過酷なロケや実現不可能に近い仕込みの必要な番組をこなしてきていたこともあり、自身の経験から部下のADさんが簡単に「無理です」などというと大声で怒鳴ったり、深夜だろうが構わず部下に仕事の確認の電話をかけ、電話にでないと罵倒するメッセージを留守番電話にいれるほど、直属の部下には厳しい人でした。

 日頃からパワハラすれすれの言動が会社で問題視されていたため、その後トシキさんは会社を辞めフリーランスになりました。

 お互いに忙しくなり、会うのはいつも向こうから急な連絡が入ったときだけだったので、疎遠になっていました。その後、自分が探偵としてテレビに出演したときのオンエアを見たようでトシキさんから急に「相談したいことがある」と連絡が来ました。

真冬の深夜に七分丈のパンツで登場
ハイテンションなテレビマン

 待ち合わせは、青山の24時間営業のファミリーレストランに深夜1時。

 深夜にもかかわらずトシキさんのテンションはとても高く、1週間前に初雪を観測した1月の寒い時季にもかかわらず、七分丈のパンツにロングティーシャツ、ダウンベストといういで立ちでした。

 私が「トシキさん寒くないんすか?今1月ですよ」と言うと、「動いてるから寒くないんだよ」とよく分からない返しがきました。

 ガラガラの店内の奥にある喫煙席の4名掛けテーブルに腰を掛けると、トシキさんはいきなり話し始めました。

「実は最近誰かに付けられてるような気がするんだ。住んでるマンションの隣に同じような高さのマンションが建ってるんだけど、そこの部屋の窓からずっと俺の部屋を監視してるやつがいるんだよね。これってなんとかできないかな」

 私はAD時代に消費者金融から借金があったことを知っていたので「30代後半のおじさんが何言ってるんですか!?危ない所からお金でも借りたんですか?」と笑いました。