指示が大雑把すぎる上司と、細かい指示ばかりする上司――部下からしてみれば、どちらも面倒な相手には違いない。書籍『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』を出版した人事・人材育成コンサルタントの飯塚健二氏が、認知科学をベースにした考え方「iWAM(アイワム)」を用いて、こうした両極なタイプの人に、どう対応するべきかをレクチャーする。
正反対な部下と上司、
互いの溝はどんどん深まる
とある上司と部下のやりとりで――。上司のAさんは、いつもことあるごとに、「もうちょっと、全体的になんとかならないかな」「まあ、いいんじゃない。ざっくりとこんな感じで」と、わかるようでわからないフィードバックをしてくる。あるいは、「これ、とりあえず、進めておいて」とか、「これ、うまく処理しておいて」とか、ざっくりとした指示を出して、なんの確認もしてこない。
部下にしてみれば、「もっと具体的に指示を出してもらわないと困ります」と突っ込みたくなる。
一方で、上司のBさんは、たとえば、部下が作成した報告書に対して、内容のことならまだしも、「この報告書の書類のページ番号、もっと下に置いて」「この見出しのフォント、ちょっと小さくない? あとゴシック体に変えたほうがいいよ」と、重箱の隅をつつくようなフィードバックをしてくる。あるいは、仕事を指示したあと、「いつまでに、どこまでやるか教えてくれる?」とか、「あれどうなった? これはどうなった?」と逐一、細かく確認してくる。
部下にしてみれば、「どうでもいいことまでいちいち口出しするなよ」とか、「ネチネチと何度も確認してきて、私のことそんなに信用してないのかな」という思いが湧き上がってくる――。
部下と上司が逆の傾向を持っていると、相手のことを理解できず、ダメな上司、出来の悪い部下とお互いにレッテルを貼り、溝はどんどん深まっていく……。