レベット・ドローン
2000年の優勝記念Tシャツを着たレイベット・ドローン

「大スターだろうが何だろうが、一皮むけば誰でも1人の人間に過ぎない。LAにはハリウッドもあるし、スターだらけの街だけど、私たちLA住民はハリウッドサインの前で写真を撮ったりしないし、ビバリーヒルズのスター豪邸ツアーにも参加しない。それは観光客がすること。私自身はLAで育ったけど、自分の子どもたちには地に足をつけて努力する人間に育ってほしいと、ひたすら願って育ててきた」

 そんなドローンは、4人の娘の父だったコービーが、引退後に地域の子どもたちの教育施設をつくるプロジェクトに積極的に参加したり、子どものイベントにサプライズで登場したりしていたことを、高く評価していた。

「引退すると目標を失って、アル中になったり、財産を浪費したりする元アスリートが多い中、家族と過ごす時間をつくるために引退し、LAのコミュニティのために時間を割いていた彼は、新たな人生の目標を見つけた感じだったから、好感を持って見ていた」

 ドローンは「あの夫婦も裁判沙汰含め色々あったし、妻も実際かなりガマンしてきたと思う。私自身は16年間、結婚生活を送ってきたけど、本当に忍耐の連続」と語る。

レジェンドの光と影
刑事告訴された過去も

「裁判沙汰」とは、2003年、コービーがコロラドのホテルの女性従業員を性的暴行したとして逮捕され、レイプの罪で訴えられたことを指している。女性従業員が法廷での証言を拒み、刑事告訴は取り下げられ、民事で示談となった。このニュースは当時、全米で大きな話題になった。

 当時、シカゴでジャーナリズム大学院生をしていた筆者は、スポーツジャーナリズムの授業で、この事件が司法で実際にどう取り扱われたのかを分析する課題に取り組んでいた。『スポーツ・イラストレイティッド』誌の現役ジャーナリストで、かつ弁護士資格を持つ教授の指導の元で、この事件にまつわる司法記録と証言を片っ端から集め、3カ月かけてクラス全員で徹底的に分析したことを覚えている。それだけ大きなインパクトを持つ、社会問題となった事件だったのだ。

 UCLAの社会学科で学位を取り、LAの老人介護施設などでケアギバーとして働いてきたドローンには、「自分はコービーをただ神のようにひたすら崇めるだけの狂信的なファンではない」という自覚がはっきりある。光も陰もある存在として、彼を見てきた。

 ファンの群衆の中には、幼い子どもの手をひいて歩く黒人の母親も多い。「昔は、黒人の若者が高校を出てすぐプロ選手になって成功すること自体、珍しいことだった記憶がある」とドローンは言う。

赤ちゃん連れでやってきた母親
赤ちゃん連れでやってきた母親