ヨン様モデルから
メイドのメガネ屋まで!

 その後も、ヨン様フィーバーがあった年にはヨン様モデルを、サッカー・ワールドカップでベッカムの人気が爆発した際にはベッカムモデルをすかさず仕入れることで、さまざまな年代の客層を取り入れることに成功してきた。

「ファンの来店は一時的なものですが、その中からリピーターになってくださる方も少なからずいました。なんでもいいからお店に来ていだく動機を作ることが、一番に重要なのだと実感しました」

 さらに山下氏は、新たな顧客獲得のために2007年、秋葉原にメイドのメガネ屋をオープンさせる。ちょうどメイドカフェが全盛期だった時代、メイドが売るメガネ屋があれば、はやるのではないかと思ったのがきっかけだった。

「業界からの評判は散々でした。メイドブームに乗っかっただけで、どうせすぐつぶれると言われていましたね。たしかに最初は客足が伸びず、苦しい時期もありましたが、メイドカフェならではのポイントカード制度や、バスツアーなどイベントを催し、メガネを買わなくてもいいから来てもらえる場所作りに注力した結果、今では多くのファンの方に支えられ、オープンから13年目を迎えることができました」

 一見、奇抜に思える山下氏のアイデアだが、すべては『新しい顧客獲得のため』という一貫した目標に基づいている。

「格安メガネしか買ったことのないお客さまに、高品質なメガネの良さを知っていただきたいという思いがあります。専門店の最大の売りはフィッティングです。目の距離や、鼻や頬骨の高さなど、お顔の形状にあわせて工具を使って調整していきます。フィッティングすることで、見えやすさ、つけ心地が段違いでよくなります。もちろん、チェーン店でもフィッティングはありますが、専門店にいるプロのフィッターには及びません」

 今後は、少子高齢化によって、2030年には人口の3分の1が65歳以上と予測されている。すなわち、メガネを必要とする人口割合が高くなり、メガネ市場にも変化が起きると山下氏は予測している。需要拡大に向けて、メガネ専門店は今が踏ん張り時かもしれない。