感染拡大が止まらない新型ウイルス
感染者数はSARSを超える可能性も
中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。中国・国家衛生健康委員会は1月28日の会見で、新型コロナウイルスの感染による死亡者数が106人に達し、感染者数は4515人と、前日の2744人から急増したことを明らかにした。ウイルス感染者は中国にとどまらず、日本を含むアジア諸国、オーストラリア、米国、フランス、カナダ、ドイツでも確認されている。
中国政府は、新型コロナウイルス感染者が集中する中国湖北省・武漢市を事実上の封鎖状態とし、春節休暇の終了日を1月30日から2月2日に延長するなど、ウイルス感染拡大を防ぐ封じ込め策を打ち出している。しかし、春節による帰省や感染回避のための避難などで、武漢市から500万人程度がすでに市外に移動したと言われており、ウイルス感染の広がりは中国内外で続くだろう。
今後、新型コロナウイルスの感染がどこまで広がるかは未知数だが、すでに感染者数が4500人を超え、感染が疑われる人数が中国本土だけで6973人(国家衛生健康委員会の発表、1月28日時点)に達していることから、新型コロナウイルス感染者数は、02年11月から03年7月に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と同程度(感染者数は最大で約8500人)か、場合によってはSARS以上の規模に膨らむとみられる。