途方もない巨額の着服事件が発覚した。住友重機械労働組合連合会の積立金年金を着服したとして、警視庁捜査2課が元会計担当書記の田村純子容疑者(60)を業務上横領容疑で逮捕、東京地検は28日、田村容疑者を起訴した。起訴内容によると、田村被告は2013年12月26日、組合員の積立年金口座から自分の口座に5000万円を送金して横領したとされるが、警視庁は13~18年に総額約6億4000万円を着服したとみて詳しく調べ、余罪として立件する方針だ。ほかにも時効が成立した分を含めると被害額は10億円を超えるとみられる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
発覚時にはスッカラカン
今回の事件で着服されたのは、労働組合の組合員が老後のために給与から少しずつ積み立てていた年金なのだが、果たして戻ってくるのだろうか。
結論から言えば、可能性は皆無だ。積立金は田村被告が使い込んだまま、弁済されることなく、泣き寝入りというのはまず間違いない。
どういうことか。
公判請求(起訴)された以上、田村被告は刑事裁判で判決が言い渡されることになる。それとは別に、労組側が民事裁判(訴訟)を起こし損害賠償を請求することは可能だ。