留学やバックパッカーなどで海外経験があるものの、就職で苦戦する若者は少なくない。海外にいるがゆえに就職活動にフルで参加できないという理由のほかに、海外経験の強みを学生自身も十分に言語化できていないという事情もある。そんな学生たちをサポートする就職支援サービスを取材した。
海外経験のある学生を
対象にした支援サービス
海外の大学へ留学をする学生が増えている。日本学生支援機構の調査によると、2017年に海外へ留学した学生は10万5031人。ここ10年間、増え続けている状態だ。また、バックパッカーとして世界を旅する若者も多い。見知らぬ国を旅しながら、文化や習慣、言葉を学び、貴重な経験を積み重ねていく。
こういった世界指向の若者は、好奇心旺盛で行動力があり、強い自立心を持っている人が多い。そのため、海外経験を持つ学生を採用したいと考える企業が、最近は増えつつある。
ところが日本では、海外経験のある学生と企業をマッチングする機会が乏しいのが実情だ。
海外では大半が6月に卒業を迎える。一方、日本は3月。就職活動は3年生の3月に説明会が始まり、4年生の6月に採用試験が解禁という流れになっている。この「ズレ」が、就職活動のネックになっているのだ。結果、海外経験者は日本での就職にハンディを負ってしまうことになる。
この問題を解決しようと始まったのが、「旅人採用」という新しい就職サービスである。文字通り、世界を旅する若者と企業をつなぐ橋渡しを行っている。
イギリスの大学へ進学した鈴木友里恵さん(23歳)は、この旅人採用を通して、IT企業への就職が内定した。
「海外にいると日本国内の会社を知る機会が少ないのです。ボストンキャリアフォーラムのような留学生向けの就職イベントはありますが、応募者が多いため、就職にこぎつけるのは難しい状況でした」(鈴木友里恵さん)
海外経験を生かした仕事をしたいと考えた鈴木さんは、ネットで旅人採用を知り、5月に登録をする。
「海外経験を持つカウンセラーさんと、SNS上で相談を進めていきました。私の希望や条件をじっくり聞き出して適した会社を紹介してくれて、ありがたかったです」
そこで提案されたのが、内定先のITベンチャー企業だった。