人間が商売をするようになって以来、もっとうまい商売のやり方があると売り込む人が絶えたことはない。垂直統合が大流行したあとはアウトソーシングの波が訪れた。日本の「リーン(無駄のない)」経営が人気を博し、その後米国ではシックスシグマが注目された。そして今、最新流行のビジネストレンドはデザイン思考だ。スタンフォード大学が社会人向けに開講している4日間で1万3000ドル(約140万円)のセミナー「d.school」などデザイン思考の短期集中講座は今では経営幹部の履歴書に欠かせない。フォード・モーターのような大企業も組織の活性化を目的にデザイン思考部門を立ち上げている。シリコンバレー発祥のデザイン思考は製品やサービスを開発する際に顧客のニーズを最優先する考え方で、アップルのiMac(アイマック)や子どもにやさしい磁気共鳴画像装置(MRI)、仕切りのないオープンオフィスはデザイン思考の産物だ。赤字を計上していても帳簿上は数十億ドルの価値がある多くの新興テクノロジー企業もデザイン思考から生まれた。
デザイン思考はビジネスを救えるか?
効果的な長期戦略か、企業のわがままに対する言い訳か
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